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ゆうめいの観劇まえがき
養生は、どのような作品か?
脚本家・劇作家・造形作家 池田 亮

ゆうめい『養生』2024年2月17日[土]〜20日[火]

下北沢 ザ・スズナリ 第34回下北沢演劇祭参加作品

HP & チケット詳細:https://www.yu-mei.com/yo-jo

※この「観劇まえがき」は、『養生』HPの情報をご覧いただいた上でお読みいただけますと、より一層観劇のイメージが膨らむかと存じます。

2024年2月17日[土]から20日[火]にかけてザ・スズナリにて4日間上演する、ゆうめい『養生』 。第34回下北沢演劇祭参加作品である今作は”夜間勤務の現場”が基となる舞台作品。「ゆうめいの観劇まえがき」では、「チケット購入と観劇を検討する際の参考になれば…」という想いから、どんな人が・どんな経緯を経て・どんな作品を立ち上げていくのかを、脚本家・劇作家・造形作家の池田 亮が解説。『養生』の脚本と演出だけではなく美術も池田が担う意図や、チケット料金についても明かす。ドラマ・アニメ・ミュージカル・カプセルトイなど、ノンジャンルで創作の多面性を追求してきた藝大彫刻出身の池田の作り方に、新たな”観劇の楽しみ”が発見できるかもしれない。

 

 

はじめに

初めまして池田 亮と申します。自分がどんな人かは、お手数ですが名前からプロフィールを見ていただければと思います。
ちなみに「池田 亮」という名前、"X"で
プロフィール検索すると、自分と同姓同名の方が沢山出てきます。さらに、港区でタワマンを最年少で契約したらしい現広告代理店CEOで生まれ故郷のマイアミを拠点に海外インフルエンサーと日本企業の架け橋となっている池田 亮さん(すごい経歴)のアカウントが沢山出てきます。アカウント数を数えた感じ100個以上ありました。

こちらの【港区タワマン最年少契約】をした方のアカウント、全てお金配り詐欺のようです。最近、詐欺アカウントと名前が被っていることに気が付きました。「池田 亮」は元々よくある名前ですが。​​報告・通報したのですが謎にポリシー違反ではなさそうなので要注意です。

※参考ページ
X(旧Twitter)お金あげますお金配り詐欺に注意!知らないうちに運び屋になる仕組みや目的を解説
https://koneta.nifty.com/koneta_detail/1141008020764_1.htm

「観劇まえがき」といいつつ、突然の注意喚起をしており、すみません。名前が詐欺師と被ると複雑な想いですが、演劇という虚構を作る自分も詐欺師みたいな存在かもしれないと【港区タワマン最年少契約】を眺めてて思いました。ただ、あちらはガチ詐欺なので気を付けてください。

こんな分かりきった詐欺に応募しない方も当然いらっしゃると思いますが、リプライやインプレッションを見ると結構応募している方々がいて驚きます。ですが、そんな自分もこういったものに簡単に引っかかりまくってしまっていた時がありまして、その時というのが、まさに今回の『養生』を作るきっかけとなる、お金が無さすぎて夜勤の日雇いをやりまくっていた時でした。

この「観劇まえがき」では、『養生』HPのIntroductionやStoryやCommentでは書ききれなかった、関係なさそうなエピソードも含めつつ、『養生』についてを深掘りしてお届けします。

彫刻と生活の夜勤

元々自分は彫刻をメインに活動を続けていまして(今も彫刻は作っていますが)、東京藝大の大学院を修了するまで、彫刻の材料費のために様々な夜勤をしながら稼いでおりました。貯金は全くなく、親への無心をしましたが視線の冷たさと空気に耐えられなくなり、日中は創作に専念しつつ、時給の高い夜勤を好んでやっていました。

​墓石職人を目指して彫刻を始めた自分は当時、石彫をしてました。この素材となる石の値段が結構高かったです。自分がどうしても欲しいと思った石が15万ぐらいするけど、いや欲しいと思ったら買うしかないだろ!と夜勤のシフトを入れまくっていました。コンサートやイベントの設営・撤去、倉庫作業、内装作業、高速道路作業など…派遣登録会社から沢山紹介していただき、石彫と夜勤を繰り返していたのですが、案の定、酷く腰を壊しました。疲労と寝不足により、重い石をその時だけ良くない持ち方で持ってしまい、激痛が走りました。そして腰を壊したことをきっかけに、当時なぜか「石に裏切られた。別れよう」と悲しみ、素材を変えようと決心しました。なぜ夜勤を変えなかったのか、自分でも謎でした。

そして様々な素材を複合し、時にはパフォーマンスをするといったミクストメディアやインスタレーションの彫刻作品を作ることとなります。これが後に、ゆうめいの立ち上げや演劇をメインに活動するきっかけとなりました。腰を壊し、石彫を断念してすぐの時は、どんな作品を作っていたかというと「貯金が全くない自分が、即日払いのお金欲しさに夜勤に参加し、疲労と治療費によって結局残高がプラマイ0になった体験」を基にしていました。こんな作品です。

 

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確か21歳の時に作った『Conveyor - 0 ペーパー』という作品です。右図の木箱から、左図の約5時間ある映像が壁にずっと投射されているインスタレーションです。

 

腰が治りかけていたある日、江ノ島フェスタ的なDMの束に白い紙を挟み続けるという夜勤のライン工で働き、その体験を作品にしました。DMの束がある程度積み上がってきたら10分ごとに配送箱に運ぶのですが、管理者からの「早く動いて?」という声に急かされ、その時にまた腰にダメージを負い、終わった頃には再発していました。当時の移動手段は全部自転車だったため、帰りは腰を庇いながら自転車を漕ぎ、不注意でガードレールっぽい鉄にぶつかり自転車も壊し、稼いだお金がその日のうちに0になりました。

 

半ば自棄になり、それらを作品で表現すべく、江ノ島へ壊れた自転車で行きました。白いコピー用紙で紙の壁を作り、その前を自分である「腰が壊れた日雇い労働者」がハンドルを持ちながら彷徨い、10分おきに紙を一枚ずつ取ってゆき、5時間経つと全部の紙が取れ、背後に江ノ島の朝陽が見えるという映像作品を撮りました。その映像を壊れた自転車を詰め込んだ箱の中からプロジェクターで写すという展示を行いました。

コンセプトは「日雇い労働における搾取」みたいな感じにしましたが、ちゃんと腰を治していなかった自分を完全に棚に上げていた発表当時でした。だた、この作品の評価は自分の今までの石彫作品をかなり上回るもので、かつ自分が作りたいのはこういったドキュメンタリー性を帯びているものだと気付きました。ゆうめいでの作品作りに通じています。

日雇い労働での体験をモチーフにした作品だと他にも、

 

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多摩美学部時代の卒業制作で作った『Conveyor - いち』という作品です。

 

深夜の冷蔵倉庫の中でコンベアーから流れ出てくるスイートポテト一つ一つを、手袋を外した人差し指だけでシールをラッピングする作業だったのですが、指をまっすぐ一本にし、そこに乗せたシールを貼っていくのがルールなのですが、倉庫がものすごく寒くて図の造形物のように指をまっすぐにできなくなってきて、怒られながら8時間働き、寒すぎて風邪を引き、扁桃炎に悪化してバイト代が医療費に消えた体験をそのまま彫刻作品にしました(こちらのインタビューでも話しています)。車輪部を動かすと目の前でラッピングがぐちゃぐちゃになっていく様子が再現されます。

改めて、彫刻でも演劇でも、辛いことや苦しいことを別のものに変換して作ろうとすることが、自分の変わらない指針かもしれません。ただ、そう簡単に変換はできないので、毎回クリエイションにおいて最も悩むところです。作品は観客の存在への意識と想像によってようやく変換が行われ、作品を発表する場は、新たな視点や観覧者からの意見や感想、知らなかった知識、感覚などを互いに交わせる場だと考えています。それが自分にとっての展示会場であり劇場でもあります。

話を『養生』に戻すと、自分が作・演出だけでなく美術を担当するのも、舞台上のモノにもこういったドラマを帯びさせたいと思ったためでした。作中に登場する舞台美術が、自分の体験から立ち上がった彫刻作品のように、マテリアルもドキュメンタリーの中に入れさせたいと考えたエンターテイメントを演劇でお届けする所存です。夜勤をしていた時の自分と、出会った人々との体験から生まれたものを発想に取り入れた物語を作ります。

チケット料金について

そして今回は「当時夜勤ばかりしていたのに貯金0の自分がギリ観に行きたいと思えるような値段」にしたいという想いと、学生時の自分が一番好きだった舞台作品の値段が2,500円だったことを思い出し、各所と考察の上、各種割引を設定しました。

前売り一般 / 3,800円 前売りU-39 / 3,500円 前売り学生 / 2,500円

当日(一般・U-39・学生一律) / 4,500円 

応援チケット / 5,000円 ※『養生』ステッカー付

昨今のゆうめい公演チケットの高騰化を打破すべく前売りから3,000円台にしたかったのと、今まで行っていたU-29を引き上げてU-39にしてみました。注意すべき点は、当日は一律4,500円となります。口コミを見て観劇されたい方もいらっしゃると存じますが、公演期間が4日間ですので前売りでのご購入をおすすめします。そして、ゆうめいは割引をするあまり、予算的な不安が発生したため応援チケットも設けさせていただきました。

ゆうめいと、ウンゲツィーファと、みなさま

ゆうめいを主宰の田中祐希りょこと立ち上げ、来年2024年で9年目に突入します。最初の何年かはまだ自分も夜勤を続けていた時で、夜勤明けに稽古場にいくことがちょくちょくありました。稽古場で演技する田中や小松大二郎を見て「さっきの夜勤でこういう人いたな…」と思ったことからも『巛』という作品(2018年にOFF・OFFシアターにて上演。「CoRich舞台芸術まつり!2018春」準グランプリ)ができたことがあります。「作品を作るために別の労働をしなければならない」ということを意識していた当時を、またゆうめいで思い出しながら作っていきます。

​そして、『Uber Boyz』『Thing Thing Thing』と、それ以外でも何度も一緒に作ってきた、個人的にゆうめいと親和性抜群だと思っているウンゲツィーファ本橋 龍さん、青年団黒澤多生さんも参加してくださることになったので、演劇を作る団体のコラボレーションという意味でもお楽しみください。

さらに『あかあか』でご参加していただいた今里 愛(Sugar Sound)さん、是非ご一緒させていただきたかった阿部将之LICHT-ER)さん、劇団鹿殺しの敏腕制作者である高橋戦車さんという、いつも自分が緊張してしまう名だたるスタッフの方々も参加していただきます。

今回は第34回下北沢演劇祭に参加している作品ですので、ぜひ演劇祭も最後までお楽しみください。

さいごに

どのジャンルの作品もそうですが、観てみないと分からないというリスクがある上で「観る前から、どんな人たちがどんな作品を作りそうか」を、この「観劇まえがき」により想像していただければ幸いです。

 

そして『養生』は演劇であり、彫刻ともなるような作品を自分的には目指しています。4日間の上演期間を、展示期間としても考え、今作を作るにあたって自分はまた夜勤しながら稽古をしていく所存です。もう脚本はできていますが、内容のブラッシュアップと身体を壊さないように夜勤と稽古に努めつつ、過去と現在の夜勤から立体的なドラマを生みます。​

 

2024年2月17日(土)から20日(火)、ザ・スズナリでお待ちしております。ご期待ください。

Schedule

​2024年2月17日[土] 〜 20日[火] 全5回

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Ticket

​チケット一般発売(先着式)

12月24日(日)10:00開始

●ローソンチケット(Lコード:36251)

https://l-tike.com/yo-jo/

●演劇最強論-ing

https://www.engekisaikyoron.net/

手数料無料 チケット代のみで購入

前売り一般 / 3,800円 前売りU-39 / 3,500円

売り学生 / 2,500円

当日(一般・U-39・学生一律) / 4,500円 

応援チケット / 5,000円 ※『養生』ステッカー付

※日時指定・全席指定席

※車いすでご来場の方はゆうめい制作部へ事前にお申し出ください

※前売U-39・前売学生のチケットは当日受付で年齢のわかる身分証をご提示ください

※未就学児は入場不可

※公演中止の場合を除き、ご予約の変更、払い戻しは致し兼ねます

Access

下北沢 ザ・スズナリ

〒155-0031

東京都世田谷区北沢1-45-15

「下北沢駅」東口(小田急線)・京王中央口(井の頭線)より徒歩4-5分

詳細はこちら

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