「よそん家がドロドロで描かれるとなると、興味もそそられるのかなって」

ゆうめい 池田 亮・小谷浜ルナ
『姿』再演 上演&配信記念対談  

2021年6月19日 公開
聞き手・構成:碇 雪恵
​舞台写真:佐々木啓太

先日東京芸術劇場シアターイーストでの再演を終えた、ゆうめい『姿』。作・演出を務める池田 亮の実体験と親族や周囲の人々への取材に基づき描かれる物語に、実父である五島ケンノ介が実父役で出演し話題となった。この作品中で観客に強烈な印象をもたらした池田 亮の母は、公演期間中のアフタートークに、実父や実兄ととも登壇する予定だったが、業務都合により欠席。そのため別途機会を設け、池田 亮と小谷浜ルナこと池田亮の実母の対談の形をとり、作品への感想や反論、作中では描かれなかった池田家のエピソードを語ってもらった。
※『姿』のネタバレが含まれております。ご了承ください。
 

亮は温和な顔して危ないやつ

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東京芸術劇場にて上演『姿』再演 ​(左から)子役の中村亮太、母役の高野ゆらこ

——今日は貴重な機会をありがとうございます。『姿』はルナさんとケンノ介さんのことをメインに描いた作品ですが、最初に亮さんからお2人をテーマにすると聞いてどう思われましたか?

 

小谷浜ルナ(以下、ルナ) 実は、その前にびっくりしたことがあって。ハイバイの『ワレワレのモロモロ』のなかで、亮が「トンカチ」(※両親の間で眠る亮が、飲んで遅く帰宅した母につねられ、ベッドとベッドの間にめり込んでいくシーンがある『姿』の原型のような短編)って芝居をやったんですよね。その芝居は自分や夫のことが出てくるとは思っていなくて。本人は了解とったって言ってるんだけど。

池田 亮(以下、亮) いやいや、言いましたよ(笑)。

ルナ その前に観に行った芝居がおもしろかったんですよ。映画の『セッション』みたいなやつで。BB弾がガーッと流れてくる板を駆け上がるみたいな、すごくパッションのある作品で。(2015年に上演された『カッドォン』)「トンカチ」もてっきりそういうものだと思って、友だちを誘って観に行ったんですよ(笑)。だけどそれがまさかの展開で、私も友だちもびっくりしちゃって……。

 

 「やりますよ」ってことは伝えてて。

 

ルナ いや、本人はそう言うんだけど、私がそのとき酔っ払ってて飛んでたのかなんなのか、とにかく知らなくて。亮が私につねられてベッドの間に落ちて、みたいなシーンがあるんですが、こっちとしては(亮を)好きすぎていろいろやってた思いなのに。猫がじゃれるみたいな、好きすぎてくすぐったりちょっかい出してたイメージですよね。ちょっともう、都合のいい演劇に仕立てて〜って(笑)。

 

 いやいやいや(笑)。

 

ルナ 温和な顔して危ないやつだなと思いましたね。本当は今回こういう事態じゃなければアフタートークに出て、「かなり盛ってますね」とか「ノンフィクション風に仕立てる池田 亮ってどうなのよ?」って話をしたかったんですよ(笑)。

 自分のなかではノンフィクションなんですよ。自分なりの解釈とか、「ここはどうですか?」って思ってた部分を脚本読んでもらったりして。でも、お母さんがみたら「ここはフィクションだ」って。

ルナ まあ、フィクションだし、2時間分切り取ってるわけだよね。

ただ実は、私の母には観せたくないんですよ。母はもしかしたら私が思うよりもさばけた人で、自分のそういう面を知っても「そうよね」ってさらっと流すかもしれないんですけど。たとえそれが演出手法であったとしても、私の何面性かのうちのひとつがああいうものだって知られたくないというか。ある意味、自慢の娘でいたいんです。公務員やってるしっかりした娘でありたい。

——ルナさんのお母さまは、亮さんが演劇をやってることはご存知なんですか?

ルナ はい、そのこと自体は知ってます。「どういう演劇やってるのかなぁ、一回くらい観に行ってみたいな」ってつぶやいてたから、「行かなくていいよ!」って(笑)。

——『姿』に出てくるおばあさまのお話は、どうやって調べたんですか?

 お母さんから聞いた以外に、おばあちゃんがちらっと話してくれたことがあるんですよね。お母さんのお父さん、ぼくからしたらおじいちゃんが急に帰ってきたときのことって、自分にとって緊急事態で。あんなに怒ってるおばあちゃん初めて見たから、どうしたんだろうなって記憶に残ってて。

ルナ ニコニコばあちゃんってずっと呼んでたくらいで。

 

 それがその日はいきなり怒ってて、こんなに人が変わるんだって。

 

ルナ 雛を襲いに来たコンドルにシャッと威嚇するみたいな感じ? 私はその場にいなかったからわからないけど。でもそれだったらかわいそう、お父さんが。

 

 ええっ⁉︎

 

ルナ 自業自得なんだけど。

 

 変な話、そのときは怖いだけでもなくておもしろかったんですよ。おばあちゃんがキッチンから包丁を出して玄関に行って、戻ってきたら包丁が2本に増えてて、二刀流になってるっていう。「なんで増えてるんだ!」みたいな(笑)。

 

ルナ でもこれも盛ってますからね〜。

 

 いや、それは本当に。

 

——真実は一体……。

 

ルナ そこらへんはもう、みなさんの想像にお任せしようと。

 

——ルナさんからしてみると、そういう“盛ってる”ことが作中にこまごまあると。

 

ルナ それはもう!

 

 ええ、そんなに? 多少はあるかもしれないけど、もとがあって盛る、みたいな感じですよ。

 

——ゼロから作ってるわけではないんですよね。1を100にすることはあっても。

 

ルナ ってみんな思わされてるの! まんまとやってるんですよ〜。まあねえ〜でもまあこれは私の意見ですけどね。

——ちなみに、ルナさんが『姿』のなかでいちばん好きなのはどのシーンですか?

ルナ 好きというか、心が痛んだというか、これはいいのかなと思った場面ですが、自殺してしまった友人のご両親が、2人で並んでソファに座って客席を見てる場面ですね。私は息子のやっている演劇をここで観ていると。それで自分の目の前には、お友だちのご両親2人の役をやっている俳優さんたちがいるけれど……それはいいんだろうかって。「切ない」ともちがうんですが、とにかくいちばんパッと浮かぶのがそのシーンで。

 

そのときも、頭のなかのもう一方では「ああ、あの衣装の使い方うまいな」とか。児玉磨利さんが、それまでの衣装にパッと白いカーディガンを羽織っただけで、役代わりしたのがわかるんですよね。役代わりもそうですし、現在過去未来が急に入れ替わったり、彼の演出はそういうのがおもしろいですよね。だからその演出のおもしろさがあれば、知ってる人を引っ張ってこなくてもいいんじゃないかなって思ってはいるわけですよね。

 

——テーマよりも、亮さんの演出手法がお好きなんですね。

 

ルナ そうですね。あと、絶妙な笑いのツボというか。

 

 さっきの包丁2本持って帰ってくる話みたいに、記憶に残ってる場面はただ辛いだけじゃなくて、見方を変えると「あれ、おかしいぞ」って思った瞬間が多いですね。そういうのは家庭環境によるものというか。オチをつけるのがうまいんですよ、お母さんもお父さんも。

あと、お母さんがすっごい怒り狂ってたときにワインをこぼしちゃって、さっきまで怒ってた人とは思えないような「キャアァッ❤︎」みたいな声をあげたことがあって。「その声なんだ?」みたいな(笑)。

 

ルナ 自分で言うのもなんなんだけど……「自分で言うのもなんなんだけど」っていうことは言っちゃうわけだよね(笑)。でも結局は、サービス精神があるっていうか(笑)。

 サービス精神なのか(笑)。

なにがなんでも亮を池田家の最下位にしたがる男・ヤスシ

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父役の五島ケンノ介こと、ヤスシの背中

——ちなみに、お子さんの頃の亮さんはどんな印象でしたか?

 

 ああ、気になる。

 

ルナ お兄ちゃんの方が頭のいい子だったんですね。亮はどっちかっていうと、ぽやんとしてるけどやさしいよねみたいな。それでも作品を作らせると「えっ、こんなこと考えてたんだ!」っていうおどろきがあって。感想文とかはいつも入選してたし。

 

あと度肝を抜かれたのは、中学校のときのマラソンですね。それまではいつも仕事で、学校の行事とか全然行ったことがなかったんですよ。体を壊して初めて半年休んで、卒業式と入学式、あとマラソンを見にいけたんですけど、それがもうぶっちぎりで。これ「だけ」見たら、女の子は好きになっちゃうな! みたいな。

 必死すぎて、お母さんが見に来てくれたこととか覚えてないな。

ルナ そのときは珍しくケンノ介さんとも一緒で。「行け〜!」って思わず怒鳴っちゃった。女子たちはみんなもう「池ちゃーん!」って。

 うそ、うそよそれは。そんなわけない。あんなにバカにされてたやつが。

ルナ 「池ちゃん」じゃなくて「行け〜!」だったのかな(笑)? 

 「クソメガネ」とかならわかるけど……。

ルナ だから高校で陸上部に入るって聞いたときは、もしかしたらそっちでいけるんじゃない? って思って。かなり本格的に取り組んでましたしね。

それで多摩美に入ってから、木とか鉄とかいろんなマテリアルで作品を作るんですけど、初めに木を使った彫刻を作る題材を与えられたときに、ひたすらその木の上をランニングシューズで走って木に傷をつけて、自分の作品にしたっていう。それを聞いたときもまたびっくりして、私の方が芸術系の才能は勝ってるつもりだったんですけど、負けたかもと思いましたね。

それでついこないだ、(高野)ゆらこさんとか児玉磨利さんとお食事してお話しする機会があって、またその話になったら本人が、そのためにランニングシューズを何足もつぶしたって言うんで、またびっくりして!

 ランニングシューズじゃなくて、足底筋ですね。足に筋膜っていうのがあるんですが、硬いところを走りすぎちゃったから、歩けなくなっちゃうみたいな。

 

ルナ ランニングシューズじゃなくて、自分の体か!

 

 そう、自分の体が壊れた話。なんか強迫観念ですよね。陸上も偶然1位になれたけど、もし順位が落ちたらまたいじめられてひどいことをされるんじゃないかって恐怖があって。大学入ってせっかく美術ができるんだから、これを失っちゃったら何も無くなるって、ふと思ったんですよね。

 

ルナ いやあ、もしそのとき亮がそんなふうになってた(いじめに遭っていた)ことを知ってたら、その子たちをころ……あ、木っ端微塵にしてましたよ!

 

——言いかけていた言葉と意味は一緒ですね(笑)。

 

ルナ いやいやいや(笑)。

 

 こっちとしては、「言ってはいけない」みたいな雰囲気があって。恥ずかしいのもあるし、迷惑かけちゃダメって勝手に思い込んでたのかなって。あと、お父さんにちらっと話したら「戦え!」みたいな反応で。

 

ルナ ほんと? 私だったら、まずは「やめちゃいな、そんなところ!」って言っちゃうな。やめさせてから「で、誰?」っていじめてきた子たちを探るね。

 

 今思うと遠慮してたんですよね。これは普段の話ですけど、家族でいつもぼくが最下位にされるんですよ。家族でボーリングに行くと、基本自分がドベになるから、それで負い目を感じるみたいなのがあって。

 

——負い目(笑)。全然楽しくない。

 

 全然楽しめないですよ! あとパターゴルフ。

 

ルナ パターゴルフね!

 

 それもみんなで行くんですけど、やっぱり上手くないから「おい、また亮だよ〜」みたいな。でも、家族の行事だから行かなくちゃいけなくて。「なんで毎回負けにいかなきゃ行けないんだよ〜!」って。

 

それくらいなら年齢が上がるにつれて、まあいいかなと思うようになったんですけど、大人になってから家族で1回カラオケに行ったことがあって。

 

ルナ ふはははは!(手を叩きながら)

 

 お母さんとお父さんとお兄ちゃんと自分で。カラオケに4人で行くのは初めてで、正月に集まったときに何かの話のきっかけでそういう流れになって。

 

ルナ 相当飲んじゃったんだよね。

 

 いざ行ってみると、家族でカラオケも意外と楽しいもんだなって思ったんですけど、歌い終わってから父さんがいきなり「ここで結果発表!」とか言い出して。「今日のカラオケ大会の順位を発表します!」って。「えっ⁉︎」って思ってたら、「1位、お兄ちゃん。2位、お母さん。3位、ヤスシ(お父さん)。4位、亮!」って……。この人はどーーーしても上に立ってたいんだなって思って。

 

ルナ でも私それちょっと納得いかなかったんだよね。私がいちばんだなと思ってたから(笑)。

 

 他の人も納得いってなかったのはあるね。

 

——そうか、大人になってからもドベにされて。

 

 気を遣っちゃってたんですかね。「よし、ボーリング行くぞ!」みたいな流れになると。お兄ちゃんとお父さんがボーリング得意で、そうなるともう多数決だから。1人だけ「俺はやめとく」って言っても。

 

ルナ 「付き合い悪いぞ〜!」ってね。

 

 なんで家族にまで付き合いよくしないといけないんだ!って。

 

——体育会系ですね(笑)

 

 それで渋々ついて行ったら、「おーい、しっかりやれよ!」って。しっかりやってんだよ、今これで!

 

——『姿』だとお父さんのそういう面は描かれてないですね。

 

ルナ いちばんのフィクサーかもしんないね。

 

——(笑)。『姿』を観終わってから、お2人で5時間飲んだと伺いましたが、そのときはどんなお話をされたんですか?

 

ルナ メインは、私の父のことですね。借金だらけになっちゃうようなひどいギャンブル依存症だったことを差し引くと、すごく魅力的で、すべてができる人で。戦争中の満州の引き揚げで相当いろいろあったりしたんですが、作品のなかではただのちょいワル親父の延長みたいな感じにされていたので、もうちょっと話しておいたほうがいいのかなって。

 

 美術に興味持ったのもおじいちゃんの影響だとかって。

 

ルナ そうなんですよね。私が御茶の水美術学院に行ってたのも、父が美術好きだったのがきっかけで。私が中学校のときポスター展に出す絵も代わりに描いちゃって、それが運動会で配られる記念の和手ぬぐいの柄になってた(笑)。

 

あと、習字とかもそうだし、器械体操とか運動も。子どものころは母よりも父の方が好きだったくらいお父さんっ子でしたね。

『姿』は「次の女」でもある

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りょこによる『姿』ビジュアルデザイン (左)三鷹市芸術文化センターでの初演、(右)東京芸術劇場での再演

 

ルナ ところで、なんで『姿』って題名にしたの?

 

 漠然としたイメージだけど、小学生のときの記憶があって。それはお父さんとお母さんの若いころの写真を見たあとに、実家の春日部近くの南桜井あたりを散歩してたら、当時のお父さんとお母さんくらいの年頃のカップルが歩いてたんですよ。それを見て、さっきの2人の写真と、そのカップルの影が重なったっていうか。それをずっと覚えてて。

 

で、初めて三鷹(三鷹市芸術文化センター)でやることになって、なにをやるか考えてた時に思い出したんですよね。ちょうどそのとき自分も結婚することになって、妻の両親が大学で知り合ったって話を聞いたんですけど、自分も妻と大学で知り合ったので、そこにもまた重なりがあって。過去には親といえどそういう時期があったんだなぁって思ったことと、その写真の思い出とのイメージがつながって、「姿かたち」みたいな、体のフォルムみたいなものから時間がワープするような……。それで『姿』っていうタイトルにしたっていう。

 

あと、母が仕事でオリンピック関連のことをやってますけど、そういう場面でよく「次世代のニューウーマン」みたいな言われ方をしますよね。それこそ小池百合子さんみたいな、女性でも第一線で働くみたいな。

 

ルナ あれはじゃあ「姿」を「次の女」って読ませるの?

 

 あ、そうです、あとから気づいたんですけど。いわゆる家父長制のような、お父さんが強い家とうちとではまたちがっていたので。家母長制?

 

ルナ なんか美味しそうな(笑)。

 

——かぼちゃ制みたいな(笑)。

 

 他の家の話とはちがうなって。ゆうめいの田中くんの家ともちがうから。

 

ルナ それぞれみんなちがうんじゃないの? 私もいろんな話をいろんなみなさんから聞くけど、そこにはそこのうちのいろんな事情がきっとあって。観に来ている方もそれぞれの家の事情を抱えていて、『姿』の場面からきっとそれぞれ自分のものを見てるというか。

 

——この次の作品は、ルナさんのことをよりフィーチャーすると聞きました。

 

ルナ えええ、もうやめてもらいたい。実は今年退職する年だったんで、次のステップを考えるときに、変なイメージがついちゃうとちょっと……(笑)。まっさらな状態でいたい!

 

 それはでも、妻の両親の話とか、他の人の家の歴史も交えて。『姿』は自分自身を登場させて、子どもの目線を入れてたけど、次は子どもの存在を入れずにやってみようかなって思ってます。

 

ルナ でも、もしも実話をもとにしていることとか、そういう前情報をまったく知らずに観たとしたら、どう感じると思います?

 

——ああ、どうでしょうかね……。

 

ルナ あの、言葉を選ばずにいうと、「よそん家ってどうなの⁉︎」みたいな(笑)よそん家がドロドロで描かれるとなると、そういう興味もそそられるのかなって。

 

——その答えになるかわかりませんが、『姿』で描かれてるものは、当然自分が経験してきたものとはちがうのに、感覚としてわかる部分はたくさんある気がしました。

 

ルナ なるほどねぇ。

 

——作品が事実に基づいているかどうかは傍においても、そこに描かれているものは池田さんがこれまでに感じてきたことだろうなとは思いますよね。それと同時に、池田さんの主観をもとにしているのに、描き方に客観性があって、自分の手を離している感じがしました。なんかすいません。

 

 客観性がありすぎて、足壊す、じゃないですけど。作品観た人がどう思うかに寄ってて、自分を無視する方向に行くときがあるかもしれないですね。

自分よりも作品を優先する親子

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​ゆうめい『姿』再演 終盤のシーン

制作さん すいません、あと10分で……。

 

ルナ 本当はこのまま飲みに行けたらいちばんよかったですよね〜。

 

——ほんとですね! そういえば、母役のお2人にお会いされたときもお酒をご一緒されたそうですが、高野さんがそれから「父と子がつるむのを嫌だなと感じるようになった」とおっしゃっていたのが気になりました。ルナさんはどう思われましたか?

 

ルナ 私は2人が仲良くしてることへの嫉妬はあまりないですね。なぜかというと、どちらかと言えば私は母とのつながりを大事にしちゃう方なので。ただ、もしかしたら私の潜在意識のなかに嫉妬のようなものがあったのをゆらこさんが感じ取ってくださったのか。冷静でいようって気持ちがあったけど、ほんとはもっと彼(亮)のことを好き好き好きってベタベタしたかった気持ちも、もしかしたらあったのかなとか。

 

でもやっぱり、なんか……「結局、この人たちは私のこと好きなんだよね」みたいな気持ちはあったのかもしれないと。意味のない自信なんだけど(笑)。

 

あとはもう仕事のほうに一生懸命で、あんまり関心がなかったって言うのもあるかな。いや、一生懸命って言っちゃいけないですね。仕事に逃げてたのかもしれないね。

 

 ああ、逃げてたって感じなんだ。

 

ルナ わかんないですね。

 

 でも「私のことはもう、みんな大好きになるから」ってよく言うじゃないですか(笑)。

 

ルナ 言わない(笑)! ちがうのちがうの。逆に高野さんと児玉さんに会って話すときに、あんだけ弾けていろんなことをできる2人が、実際に会うことで私を好きになっちゃって、(演じ方が)弱いかたちになっちゃうといけないんじゃない? って意味で言ったの。「いや、意外といい母さんじゃん」みたいになっちゃうとね。いい人じゃないところを見せたほうがおもしろいかもしれないのに、いいのかなぁみたいな。

 

——それは作品作りに対してずいぶん協力的といいますか……! 滅私奉公みたいな。

 

 そこら辺はもう仕事で培われた姿勢だと思います。

 

ルナ いやいや、だってそう言う手法をとってるから、ねえ。私も次のステップにちゃっかり乗ろうと思ってますし(笑)。

 

——まだ先が見えない状況ですが、晴れて退職されることになってから、次のステップとしていちばん挑戦したいことはなんですか?

 

ルナ 声優とかやってみたいですね!

 

——じゃあ、(『姿』で)ナレーターの依頼があったときは「よしっ!」みたいな。

 

ルナ そうですね、「オッケー♪」みたいな。

 

 そういう希望があったと、そのときは知らなくて。

 

ルナ 自治体のイベントなんかでも、若いときから自分でしゃべったりしてて。プロの司会の方を呼ぶと、かなりお金かかるんですよ。なので「ちょっと代わりにやって」って言われると、「わかりましたー」って。それは別に苦じゃなかったですね。

 

 最初お願いするときも大丈夫かなって思ってたんですよ。

 

ルナ いや、その前に、作品自体でしょう、心配すべきは(笑)。

 

 (笑)。初演の『姿』が終わったあとに、声優になりたいって話を聞いて。「声優事務所に送ってよ、あんた脚本書いてるんだから」って言うんで、「ああ、ぜんぜん送りますよ」って話をしまして。初演ではその話はなかったので、ナレーターやってもらったのも別に意図はしてなかったんですけど、実はつながっててびっくりしたっていうか。

 

ルナ そのときは声優になりたいとは思ってなかったんだろうね。自分の声で言葉を伝えるのは別に苦じゃなかったですけど。

 

——なにかに導かれているかのようですね。

 

ルナ もう、それに乗んないとね。親としても(笑)。

 

(終わり)

ゆうめい『姿』特設ページ
劇場公演感想まとめツイート”Togetter”

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ゆうめい『姿』再演 東京芸術劇場シアターイースト

【期間限定 本編アーカイブ配信中】

2021年6月21日(月) 21時30分まで

価格:2500円

https://eplus.jp/sf/detail/3437800001-P0030001

【本編に加え アフタートークも収録】

作・演出の池田 亮と、本作に出演しており、池田の実の父である五島ケンノ介、

高野ゆらこ、さらに池田の兄である春日部組・いけちゃんをゲストに迎え、

本作のモデルとなった親と子、劇と現実の違いについて、トークを行いました。

【冒頭一部2分20秒をTwitterにて特別公開中】

https://twitter.com/y__u__m__e__i/status/1404604572702740482